著作
非同盟運動の強化発展のために

―朝鮮労働党中央委員会政治局、朝鮮民主主義人民共和国中央人民委員会合同会議での結語―

キムイルソン

  (1986年 6 月20日)
 

 きょうの朝鮮労働党中央委員会政治局、朝鮮民主主義人民共和国中央人民委員会合同会議では、第8回非同盟諸国首脳会議を前にして、非同盟運動と関連した一連の問題を討議しました。
 第8回非同盟諸国首脳会議は、非同盟運動の創立25周年にあたる意義深い今年に召集されます。われわれは、この会議が非同盟運動の原則と理念を固守し、この運動をさらに強化発展させるうえで有意義な歴史的会合になるよう望んでいます。
 この25年間、非同盟運動は内外の情勢が複雑をきわめ、運動の前途に多くの難関が横たわっていましたが、それを成功裏に克服しながら力強く前進してきました。
 いまから25年前、25か国の新興独立諸国によって初の進軍をはじめた非同盟運動は、こんにちにいたって百余の新興諸国を結集したきわめて幅の広い運動に拡大し、組織化された政治勢力に発展し、世界の革命的変革過程と国際政治舞台に大きな影響力を及ぼしています。
 非同盟運動が歩んできた全過程は、ブロックの外にある独自の政治勢力としての非同盟運動の生命力と、その政策の正当さを実証しています。
 こんにち非同盟運動には、新たな情勢の要求に即応して運動をいっそう強化発展させ、自己の誇らしい使命を果たすべき重大な任務が課されています。
 帝国主義、植民地主義を一掃してあらゆる形の支配と従属をなくし、侵略と干渉に反対し平和と安全を守り、 国と民族の自主権を実現して自由な社会経済的発展をとげるのは、非同盟運動が草創期からうちだしてきた崇高な使命です。これにはすべての国、すべての民族の独立と繁栄をなしとげ、戦争のない平和な新しい世界を建設しようとする諸国人民の志向と願望が反映されています。
 こんにち国際舞台には、非同盟諸国人民の志向と願望に反する情勢が生じており、非同盟運動は帝国主義者とあらゆる反動派のきびしい挑戦に直面しています。
 非同盟諸国人民と世界の進歩的人民は、今年、ハラレで開催される第8回非同盟諸国首脳会議が、運動に提起される重大な課題を解決する画期的な契機となることを期待し、この会議に大きな関心を寄せています。
 新たな情勢に対処して非同盟運動の威力を全面的に強化し、国際舞台におけるその役割をさらに高めることはきわめて重要な意義をもちます。
 わたしは第8回非同盟諸国首脳会議をひかえ、非同盟運動の強化発展において提起される重要ないくつかの問題について述べようと思います。


1. 現国際情勢と反帝・自主化

 こんにち、国際情勢は複雑かつ緊張をきわめています。
 現代の主流は依然として、独立と自主、平和と進歩の道にそって流れていますが、一方では支配と従属、戦争と破壊の逆流が流れています。
 世界の各地域で国と民族の自主権を踏みにじり、平和と安全を破壊する侵略行為と衝突事件が頻発しており、人民の生存を脅かす社会経済的停滞と破局、不安定な状態が持続しています。人民は平和を望んでいますが、国際緊張は日ましに激化し、戦争の危険はさらに増大しており、国際社会ではさまざまな激烈かつ複雑な問題がたえず生じています。
 世界の進歩的人民の共通した志向に反するこのような事態は、帝国主義者の侵略と略奪策動の強化と関連しています。
 侵略と略奪は帝国主義の本性であり生存方式であります。
 帝国主義は侵略と略奪によって生まれ、たえまない侵略と略奪によって肥大化してきました。帝国主義が出現して以来、人類は繰り返される侵略と戦争によって災難をこうむり、はかり知れない膨大な財貨と労働の成果を奪われてきました。
 独占資本が膨張すれば侵略と略奪の触手を海外にのばすのは、資本主義発展の必然的結果であり法則であります。
 帝国主義の野望と貪欲には際限がありません。帝国主義は肥え太れば太るほど野望と貪欲がますます増し、他国にたいする侵略と略奪行為がいっそう執ようかつ横暴になります。
 帝国主義の侵略と略奪の手口は、時代の発展にともなって変化してきました。
 こんにち、帝国主義者が他国を侵略し支配し、略奪するうえで用いる主な手口は、新植民地主義です。
 第二次世界大戦後、帝国主義植民地体制が崩壊し、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの多くの国の人民が植民地的従属から抜けだして自主的な発展の道を歩むようになった新しい時代に入り、帝国主義者の旧植民地支配方法はもはや通じなくなり、帝国主義は連合せずには自己の地位を維持することも、他国にたいする支配と略奪を実現することもできなくなりました。第二次世界大戦後、アメリカを頭目とする連合勢力として再編成された現代帝国主義は、より隠蔽された狡猾な新植民地主義的方法によって新たに独立した国々と発展途上諸国にたいする支配と略奪を強行してきました。
 こんにち帝国主義者は、「援助」だの「協力」だのという新植民地主義のくびきをかけて多くの発展途上国の経済命脈を握り、これらの国を自己の原料産地、商品市場に変え、莫大な利潤を得て蓄財しています。帝国主義者の新植民地主義的従属化政策とかれらが強要している不公平な旧国際経済秩序のため、少なからぬ非同盟国と発展途上国は、政治的独立をかちとりながらも国の自主的発展と繁栄をなしとげられず、人民は飢餓と貧困から抜けでられずにいます。時間がたつにつれ西側帝国主義諸国と発展途上諸国間の貧富の差はますます大きくなっており、世界的範囲で国家間の「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」現象がいっそうはなはだしくなっています。
 帝国主義者は独占体の際限ない海外膨張の欲を充足させ、世界制覇の野望を実現するため経済を軍事化する方向に走っており、侵略と戦争策動をさらに強化しています。
 帝国主義者は、侵略のほこ先を非同盟諸国をはじめ新興諸国に向けています。
 アメリカをはじめとする帝国主義者は、非同盟諸国と発展途上諸国にたいする武力干渉と転覆、破壊活動をたえず強行しており、 植民地支配の後遺症として生じた国境問題や複雑な諸問題を巧妙に利用してそれらの国のあいだにくさびを打ち込み、反目と対立をあおって互いに争わせ、そこから漁夫の利を得ようと策動しています。帝国主義者は非同盟諸国、発展途上諸国への侵略企図を実現するうえで、往々にしてシオニストと南アフリカ人種主義者などかれらの子飼いの手先を突撃隊に利用しています。
 帝国主義者のこのような策動によって、非同盟諸国と発展途上諸国の人民は大きな犠牲と災難をこうむっており、新社会の建設で多くの難関と障害にぶつかっています。
 こうした事実は、帝国主義者こそは侵略と略奪の元凶であり、世界の平和と安全の破壊者であり、社会進歩を阻む張本人であることを明白に示しています。
 帝国主義に反対し、世界の自主化を実現するためにたたかうのは、現代のさし迫った要求であります。
 非同盟運動は本質において反帝・自主化の運動です。非同盟運動は反帝・自主化闘争を通じてのみ、自己の崇高な目的と理念を実現することができます。反帝・自主化闘争を強化してこそ、世界の平和と安全を守り、諸国人民の自主的権利と利益を擁護することができ、民族の独立を強固にし社会進歩を実現することができます。
 非同盟諸国の人民と世界のすべての進歩的人民は、かたく団結して反帝・自主化闘争を力強く展開していかなくてはなりません。
 第一に、全世界的な範囲で反帝共同戦線を結成し、帝国主義に反対する闘争を強化すべきです。
 帝国主義は非同盟諸国の人民と世界のすべての進歩的人民の共通の敵です。帝国主義勢力は連合して、自主と平和、社会進歩をめざす諸国人民の正義の偉業に挑戦しています。世界には帝国主義による侵略と干渉の脅威を受けていない国がありません。
 諸国人民は団結した力によってのみ、帝国主義連合勢力に対抗して勝利をおさめることができます。帝国主義者は、世界の進歩的人民が一つの反帝勢力にかたく団結するのをなによりも恐れています。人民の団結した力は必勝不敗であります。
 非同盟諸国の人民と世界のすべての進歩的人民は、自主と平和、社会進歩の共通の偉業のために反帝闘争の一つの隊伍にかたく結集し、帝国主義に反対するたたかいにおいて同一の歩調をとらなければなりません。
 第二に、帝国主義に反対し自主権を守る闘争を、政治、軍事、経済、思想と文化の各分野にわたって全面的に頑強に進めるべきです。
 他国を侵略し支配しようとする帝国主義者の策動は、各分野にわたって多様な方法で強行されています。 帝国主義者は軍事力と陰謀的方法によって他国にたいする侵略と政治的支配を実現するだけでなく、剰余商品と不公平な経済関係、 腐敗した西側文化とブルジョア生活様式を武器にして、経済的従属と思想的・文化的浸透を実現しようと策動しています。
 非同盟諸国と世界のすべての進歩的な国は、帝国主義者の露骨な侵略策動とともに、さまざまな方法で強行されているかれらの凶悪な企図と狡猾な術策に警戒心を高め、それをことごとく粉砕すべきです。
 帝国主義に反対するたたかいを各分野にわたって全面的に進めるばかりでなく、それを中途半端にすることなく頑強に進めるべきです。
 反帝闘争を寸時たりとも休止したり弱化させてはなりません。闘争を休止するのは後退を意味し、後退は敗北をまねきます。帝国主義に反対する闘争はかれらに息をつくひまを与えずひきつづき強化し、最後の勝利をかちとるまで徹底的におこなわなければなりません。
 第三に、全世界の自主化を実現するために力強くたたかわなければなりません。
 自己の運命をわが手にした人民があらゆる支配と従属に反対し、自主の道へ進むのは現代の基本的すう勢であり、全世界の自主化を実現するためにたたかうのは自主性を擁護するすべての国の人民共通の偉業です。
 自主化された世界は、あらゆる形の植民地主義が一掃され、すべての国、すべての民族の自主権が完全に実現された世界です。
 全世界の自主化を実現してこそ、世界のすべての国の人民が支配と従属から抜けだし、自由で幸せな生活を営む、繁栄する新社会を建設することができ、侵略と戦争を終息させ、人類が平和に暮らす新しい世界を建設することができます。
 全世界を自主化する闘争は、世界の反帝・自主勢力と帝国主義支配勢力との存亡を決する深刻な対決です。
 非同盟諸国人民と自主性を擁護する世界各国人民は、全世界の自主化を実現する闘争に積極的に奮い立たなければなりません。

 
2. 核戦争防止と核兵器撤廃

 核戦争を防止し世界の平和と安全を守るのは、現段階において人類に提起されている焦眉の問題であります。
 核兵器をふりかざし力によって世界を支配しようとするのは、帝国主義者が第二次世界大戦後から執ように追及してきた世界戦略です。帝国主義者のこうした世界制覇戦略は、日を追ってますます大きな危険性をおびています。
 いま帝国主義者は軍備を大々的に拡張し、核兵器の製造と配備に拍車をかけています。帝国主義者の戦争策動によって、世界各国、各地域に数多くの核兵器が展開され、太平洋とインド洋をはじめ各大洋に核艦隊が恒常的に展開されており、 とくに主要資源地帯と軍事戦略的要衝に核兵力が大々的に集中し、新たな核基地がひきつづき増加しています。非同盟諸国の領土、領空、領海とその周辺では、核戦争を誘発しうる軍事演習と軍事活動がたえずくりひろげられています。
 近年、アメリカはきわめて無謀な「スターウォーズ計画」をもちだして軍備競争を宇宙にまで拡大しようとしており、二元化学兵器を生産して世界の各地域に展開しようと策しています。
 核戦争の暗雲が地球上のすべての大陸にたれこめており、それは惑星の存在そのものを脅かしています。新たな世界大戦、核戦争が起こりうる危険はアジアとヨーロッパにも、中近東と南部アフリカにもあり、カリブ海地域とインド洋にもあり、世界のどの地域にもあります。
 こんにち、核戦争の危険がもっとも深まっているところは朝鮮半島です。
 南朝鮮には核爆弾をはじめ一千余個の各種核兵器が展開されており、南朝鮮に配備された核兵器の密度は、NATO構成国に展開されている核兵器の密度の四倍にもなります。世界的にみると、NATO構成国を除けばアメリカの核兵器を大々的に持ち込んでいるのは南朝鮮だけです。アメリカの植民地軍事基地である南朝鮮は膨大な核兵器貯蔵庫に、極東最大の核前哨基地に変わりました。
 アメリカは南朝鮮に核兵器を大々的に展開する一方、各種の核兵器とおびただしい兵力を動員して南朝鮮とその周辺で核戦争演習を頻繁にくりひろげています。そのため、こんにち南朝鮮はもっとも危険な核戦争の根源地となっています。
 わが国で核戦争が起これば、それはたやすく世界的な核戦争に拡大するであろうし、そうなれば朝鮮民族のみでなく全人類が核の惨禍をこうむるようになるでしょう。
 核戦争の危険がこんにちのように人類の生存を脅かしたことはいまだかつてありませんでした。現在、地球上に蓄積されている原子爆弾の爆発力は、第二次世界大戦の時期にアメリカが広島に投下した原子爆弾の百万倍以上に達しています。世界の世論は、いかなる偶発的な要因によっても核戦争が起こりうると憂慮しています。
 新たな世界大戦、核戦争を防ぎ、平和と安全を守るのは時代の厳粛な要求であり、人類の一致した志向であります。
 非同盟運動は反戦平和愛好勢力であり、非同盟政策は正義にもとづく平和愛好政策であります。非同盟運動は新たな世界大戦、核戦争を防ぎ、世界の平和を守ることを重要な任務とし、その活動を全面的に強化すべきでしょう。
 第一に、軍備競争を中止し、全般的かつ完全な軍備撤廃、とくに核兵器撤廃の実現をめざしてたたかわなければなりません。
 軍備競争と世界各地に展開されている核兵器は、国際緊張を激化させ、核戦争の危険を増大させる基本的要因です。軍備競争がつづき、地球上に核兵器が存在するかぎり、核戦争の危険はなくならず、人類は恒常的な核の脅威から抜けだせません。
 非同盟諸国は核兵器撤廃に優先権を付与し、核兵器の製造と貯蔵を防ぎ、核兵器を完全に、そして永久に廃棄するたたかいに立ち上がらなければなりません。現存の核兵器庫を凍結させ、核兵器を大幅に縮減し、ひいては完全に廃棄して核戦争の危険を最終的に取り除かなければなりません。
 核戦争の中止は、核軍備競争を防止し、核兵器を撤廃する第一歩となります。非同盟諸国は、あらゆる形の核兵器実験を完全に禁止する国際法的措置をとらせるうえで触媒的な役割を果たすべきであります。
 宇宙は平和的目的にのみ利用されるべきであり、軍備競争の新たな舞台になってはなりません。非同盟諸国は軍備競争を宇宙へ拡大しようとするいかなる試みも絶対に許してはなりません。
 非同盟諸国は、核兵器保有国に非保有国を核兵器で脅迫しないということを公約させるべきであり、国際法的に核兵器撤廃を規制する措置が一日も早く講じられるようにすべきです。
 核兵器を撤廃し、核戦争を防ぐためには、世界の各地域に非核地帯・平和地帯を設置し、それをたえず拡大していかなければなりません。
 こんにち、世界の各地域で非核地帯・平和地帯設置にかんする好ましい発起が出されています。非同盟諸国は非核地帯・平和地帯設置をめざすすべての発起を積極的に支持すべきです。核兵器保有国は、非核地帯・平和地帯を尊重し、この地帯に核兵器を展開してはなりません。
 わが共和国政府と朝鮮人民は、朝鮮半島を含む東北アジア地域を非核地帯・平和地帯にするため積極的にたたかうと同時に、世界の平和愛好人民と団結して世界の各地域に非核地帯・平和地帯を設置し、それを拡大していくためにあらゆる努力をつくすでしょう。
 新たな世界大戦の危険を防ぎ、世界の平和と安全を守るためには、核兵器の撤廃とともに化学兵器の開発と製造、貯蔵と使用を禁止しなければなりません。
 いま、今世紀末までに核兵器を段階的に完全に廃棄する提案と、宇宙での軍備競争を中止する提案など、全般的かつ完全な軍備撤廃の実現をめざす肯定的な提案と発起が出されています。これは核戦争の危険を取り除き、世界の平和と安全を守るうえで有意義な提案であり、発起であります。非同盟諸国は、核戦争の危険を防ぐ肯定的な提案と発起が実践に移されるよう全力をつくすべきであります。
 第二に、帝国主義者の軍事ブロックと軍事基地化の政策に反対してたたかうべきです。
 軍事ブロックは帝国主義者の侵略と戦争策動の足場であり、他国の領土にある侵略的な外国軍事基地と外国軍隊は、その国を支配し統制する手段であります。世界の平和は、地球上からすべての軍事ブロック、侵略と戦争の手段が一掃されるときにはじめて、恒久的かつ強固なものになります。
 外国軍事基地の設置と外国軍隊の駐留に反対し、軍事ブロックを解体させるためにたたかうのは、非同盟運動の重要な任務です。
 非同盟諸国は、他国の領土にある侵略的な外国軍事基地と外国軍隊の撤収を強く主張すべきであり、自国の領土を列強の軍事基地、補給基地に提供してはなりません。
 いま帝国主義者は、規制の軍事ブロックを維持、強化しつつ、アジア・太平洋地域をはじめいたるところに新たな軍事ブロックを結成しようとしています。非同盟諸国は帝国主義者の新たな軍事ブロック結成策動に断固反対し、すべての侵略的軍事ブロックを解体させるため積極的にたたかわなければなりません。
 帝国主義者の侵略的軍事ブロックが解体されれば、社会主義諸国の軍事ブロックも必要でなくなるでしょう。
 非同盟諸国は、いかなる軍事ブロックや軍事条約にも加担してはならず、自国とその周辺で帝国主義者が戦争演習、とくに核戦争演習をくりひろげるのを許してはなりません。
 われわれは、アメリカが南朝鮮とその周辺でおこなっている核戦争挑発策動を中止し、南朝鮮にあるアメリカ軍と軍事基地、核兵器などの大量殺りく兵器をただちに撤収することを強く主張するものです。
 非同盟諸国は、侵略的な外国の軍事基地と軍隊を撤収させるためにたたかうすべての国の人民に積極的な支持と声援を送らなければなりません。
 第三に、反戦・反核平和運動を力強く展開すべきです。
 こんにち、アジアとヨーロッパをはじめ世界の各地域で力強く展開されている反戦・反核平和運動は、帝国主義者の戦争政策と核軍備増強策動に大きな打撃を与えています。
 非同盟諸国は、帝国主義者の侵略と戦争政策、無謀な核戦争挑発策動を断固暴露、糾弾すべきであり、帝国主義者の触手がのびている、いたるところでその手足を縛りあげなければなりません。また、帝国主義者の侵略と戦争政策に追従してはならず、かれらの戦争政策を実行する手先の役を果たしてはなりません。
 非同盟諸国は反戦・反核平和運動との連帯を強化し、この運動に可能なすべての形の支持と声援を送るべきです。
 すべての非同盟国は、国際関係の公認された規範と行動準則をじゅうりんする行為を許してはならず、そのような行為を阻止する声をいっそう高めなければなりません。
 今年は国際平和の年であります。世界の平和愛好人民はひとしく、今年こそ世界のすべての地域で緊張を緩和し、侵略と戦争の根源を除去するうえで新たな前進がとげられることを望んでいます。
 こんにち、新たな世界大戦、核戦争の危険は大きいとはいえ、戦争は宿命的に避けがたいものではありません。非同盟諸国が世界のすべての反戦平和愛好勢力と連合して積極的にたたかうならば、核戦争の危険を取り除き、平和と安全を守ることができるでしょう。
 われわれは、非同盟諸国が第8回非同盟諸国首脳会議の準備活動において、軍備撤廃、とくに核兵器撤廃の実現に第一義的な注目を払い、この会議が新たな世界大戦、核戦争を防ぎ、国際緊張を緩和する新たな契機になるようにすべきであるとみなします。


3. 植民地主義、人種主義の一掃と民族解放偉業の完成

 植民地主義、人種主義を一掃し、民族解放偉業を完成するのは反帝・自主をめざす闘争の重要な課題です。
 現代は自主性の時代です。かつて抑圧された人民が世界の主人として登場し、歴史を力強くおし進めています。自主の時代的潮流とともに、地球上から帝国主義植民地体制は最終的に一掃されつつあり、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの多くの国の人民が政治的独立をかちとり、新しい生活を創造する道へ力強く前進しています。
 しかし、地球上にはいまなお帝国主義植民地の残滓が存在しており、少なからぬ人民が植民地的奴隷生活を強いられています。これは自主性の時代において容認できない深刻な矛盾であります。こんにち、植民地従属国の人民は、自由と独立の旗を高くかかげて力強い闘争を展開し、帝国主義者、植民地主義者に甚大な打撃を与えています。
 帝国主義者は崩壊しつつある植民地体制をなんとしてでも維持しようと、諸国人民の解放偉業を武力で弾圧する一方、人種主義者をさかんにあおりたてています。帝国主義者は南アフリカとイスラエルを「友邦」「同盟国」として宣言し、これらの国と政治、外交、経済、財政、軍事、とくに核分野における「協力」を強めています。
 帝国主義者の積極的な庇護のもとに、南アフリカ人種主義者とシオニストは、人種主義的で膨張主義的な侵略政策を露骨に追求し、民族解放偉業に必死になって反対しています。
 南アフリカ人種主義政権は、悪らつなアパルトヘイト・人種差別政策と暴圧政治を実施しており、南アフリカ人民の初歩的な自由と権利まで無惨に踏みにじり、かれらを少数白人の従属下にひきつづき縛りつけています。南アフリカ人種主義者はナミビアを不法に占領して植民地支配を強化しており、国の独立と民族の解放をめざすナミビア人民の闘争に血なまぐさい弾圧を加えています。南アフリカ人種主義政権はアンゴラ、ボツワナ、モザンビーク、ザンビア、ジンバブエなど前線諸国にたいする侵略と干渉、国家テロ行為をたえず強行し、これらの国の安全を破壊し、合法的な政権をくつがえそうと執拗に策動しています。 最近、南アフリカ人種主義集団が空軍、地上軍、海軍を動員してジンバブエ、ザンビア、ボツワナ、アンゴラにたいして強行した軍事的攻撃は、かれらの侵略性と野蛮さを世界の面前にありのままにさらけだしました。
 シオニストは中近東地域での「大ユダヤ帝国」創設の野望を実現するため、アラブ諸国を占領し植民地定着化政策を追求しています。かれらは帝国主義者の積極的な庇護のもとに、日ましに凶暴さと傲慢さをそのままあらわし、パレスチナ人民をはじめアラブ諸国人民の民族的権利を乱暴にじゅうりんしています。
 帝国主義者、植民地主義者は、中米とカリブ海地域でも、自由と独立をめざす諸国人民の闘争を妨げています。帝国主義者は国の政治的独立を守り自主的発展をとげるためたたかっている、これらの地域の国々にたいする軍事的脅威と干渉、破壊活動を露骨に強行しています。
 植民地主義者、人種主義者が民族解放偉業を抹殺し、植民地的搾取と支配を強化しようと策動している現状のもとで、世界の進歩的人民には団結した力で植民地主義、人種主義を一掃するたたかいをさらに力強く展開すべき重大な課題が提起されています。地球上からあらゆる形の植民地主義と人種主義が一掃されるとき、帝国主義的な北アメリカも西ヨーロッパももはや存在しなくなり、帝国主義のくびきからの人民の解放は完全かつ最終的なものになるでしょう。
 すべての非同盟国は植民地主義、人種主義を最終的に一掃し、民族解放偉業を完成するためにいっそう力強くたたかい、民族の解放と独立をめざす被抑圧人民のたたかいを全面的に支持声援しなければなりません。
 第一に、南アフリカの人種主義制度に終止符を打つ共同闘争をさらに力強く展開すべきです。
 南アフリカは植民地主義者の重要な拠点です。南アフリカ人種主義は植民地主義のもっとも残忍な形態であり、アフリカの完全な解放と非植民地化過程を妨げている主なる障害物であります。現実は南アフリカにおける人種隔離政策を終息させずには民族解放偉業を完成することができず、この地域の情勢を安定させ、世界の平和と安全を守ることができないことを示しています。
 非同盟諸国は、自由と解放をめざす南アフリカ人民の闘争、南アフリカの占領に反対し、民族自決と独立をめざすナミビア人民の闘争、そして南アフリカの侵略と干渉に反対し国の独立を守るための前線諸国とその他の隣接諸国人民の闘争を支持する共同の努力を強めなければなりません。
 非同盟諸国は南アフリカ人民とナミビア人民をはじめ、たたかう南部アフリカ人民に政治的・外交的・物質的・財政的・軍事的支援を含めたあらゆる形の支援を与えるべきであり、南アフリカ人種主義政権を国際的に完全に孤立させる積極的な措置をとるべきであります。非同盟運動は、すべての構成国と国際機構が南アフリカ人種主義政権と結んでいる政治、経済、文化、外交、軍事など各分野の関係を断絶するようにはかるべきです。
 第二に、シオニストの膨張主義的侵略野望を打ち砕くべきです。
 シオニズムは人種主義、植民地主義の一形態です。シオニストの侵略と膨張政策は、中近東における民族解放偉業の勝利的前進を妨げている根本的要因です。イスラエルの侵略野望を打ち砕かずには、中近東諸国の独立と領土保全、進歩をなしとげることができず、世界の恒久平和と安全を保障することができません。
 非同盟諸国は、アラブ人民に反対しパレスチナ人民の解放偉業を抹殺しようとするシオニストの犯罪的策動を強く糾弾し、パレスチナ人民とアラブ人民の正義の偉業にひきつづき積極的な支持と連帯を送るべきであります。非同盟諸国は、パレスチナ人民とアラブ人民の闘争を共通の偉業とみなし、第7回非同盟諸国首脳会議の決議どおり、外交、経済、軍事、文化分野と海上・航空運輸分野でイスラエルを排斥する積極的な共同行動をとるべきです。
 奪われたアラブの領土を取りもどし、独立国家の創建を含めたパレスチナのすべての合法的権利を回復するためのパレスチナ人民とアラブ人民の正義の偉業は必ず実現されなければなりません。シオニストは膨張および併合政策を放棄し、占領したすべてのアラブ領土からただちに引きあげるべきです。
 アメリカは、シオニストに与えている政治的・外交的支持と軍事的・経済的援助を中止し、中近東地域にたいする支配野望を捨て、この地域から手を引くべきです。
 第三に、独立、自主、新社会の建設をめざしてたたかう諸国人民との連帯を強化すべきです。
 民族の独立と解放をめざす諸国人民の闘争を積極的に支持声援するのは、非同盟諸国の共通の義務であります。
 独立、自主、新社会の建設をめざす諸国人民の闘争は、支持し合い補い合う関係にあります。アフリカが自由でなければ、アジア、ラテンアメリカが自由でありえず、アジアで独立、自主、新社会の建設をめざす闘争が成功裏に進められれば、アフリカとラテンアメリカ人民の解放闘争に有利な条件がもたらされるでしょう。
 非同盟諸国は民族の解放と独立をめざす植民地諸国人民の闘争を力強く支援し、帝国主義の侵略と干渉策動に反対し、国の独立と自主権を守るアジア、アフリカ、ラテンアメリカ人民の闘争により積極的な声援を送るべきです。
 非同盟諸国は、新生活の創造をめざす諸国人民の正当な偉業を抹殺しようとする帝国主義者とその手先の策動を糾弾し、かれらを徹底的に孤立させ、いかなる場合にも主権国家にたいする侵略と干渉、圧力と国家テロ行為を許してはなりません。
 もし、帝国主義者が非同盟諸国の自主権を勝手にじゅうりんするのを放置するならば、かれらは明日になればますます傲慢無礼に行動し、非同盟運動全般の運命を翻弄しようとするでしょう。非同盟運動は帝国主義の侵略と干渉から運動構成国の独立、自主、新社会建設の偉業を守らなければなりません。
 帝国主義、植民地主義が滅亡し、諸国人民の解放偉業が勝利するのは、なにをもってしてもとどめることのできない歴史の潮流です。
 非同盟諸国が地球上から帝国主義、植民地主義を一掃する闘争を力強く展開するとき、民族解放偉業の最終的勝利はいっそう早められるでしょう。


4. 南南協力と経済的自立

 南南協力は、発展途上諸国が経済的、技術的に緊密に協力して民族経済の自立性を強め、完全な経済的解放をなしとげるための崇高な事業です。
 発展途上諸国は経済的に自立してこそ、帝国主義植民地支配の後遺症である後進性と貧困、飢餓と病魔から人民を解放し、すでにかちとった政治的独立を強固にすることができます。
 他の国に経済的に従属する民族は政治的にも従属します。経済的依存は不可避的に政治的依存をもたらし、経済的従属は政治的従属をまねきます。
 経済的自立をめざす闘争は、経済的立ち後れと貧困を一掃し、民族の完全な自主権を実現する第二の解放闘争です。
 経済的自立をなしとげるのは発展途上諸国人民自身の事業です。帝国主義者は決して発展途上諸国に経済的自立をもたらしてはくれません。非同盟諸国と発展途上諸国は、集団的自力更生の旗のもとに南南協力を実現して生きる道を切り開き、自立的民族経済を建設しなければなりません。
 国際経済情勢が発展途上諸国に不利に変わっている現実は、南南協力の実現をいっそう切実に求めています。日ましに増大する飢餓と病魔による災難が発展途上諸国の人民を脅かしている状況のもとで、発展途上諸国は当然、互いに力を合わせて支持、協力すべきです。
 いま多くの非同盟および発展途上諸国の指導者は、自己の運命は自分自身が責任をもって切り開くことを要求し、非同盟諸国、 発展途上諸国間の緊密な協力を提起しています。これは至極当然なことです。
 南南協力を実現すれば、発展途上諸国が先進諸国にたいする対抗力と協商力を養い、新国際経済秩序の確立にも有利な局面を切り開くことができるでしょう。
 現実的に、南南協力を実現できる条件と可能性は大きいといえます。非同盟諸国と発展途上諸国は広大な領土と豊富な原料資源、 新生活創造の過程で得た種々のすぐれた経験と技術をもっています。発展途上諸国が国内の人的・物的資源を最大限に動員し、 有無相通ずる原則で経済・技術協力と交流を強めるならば、先進諸国に頼らなくても新社会の建設で提起される困難かつ複雑な問題を成功裏に解決していくことができます。歴史的経験は、貧しく立ち後れた国であっても、力を合わせれば大事業をなしとげることができることを示しています。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、立ち後れと貧困、飢餓と病魔から人民を解放し、経済的自立を達成するため、現実的に可能でさし迫った問題から協力と交流を活発におこなうべきです。
 第一に、食糧および農業分野における南南協力を拡大発展させるべきです。
 食糧問題、農業問題を解決することは、新社会の建設を促進し、人民の福祉増進をはかるうえでキーポイントとなる問題です。
 農業分野での協力と交流は、発展途上諸国が短期間に食糧を自給自足できる自己の強固な農業生産土台を築くことに中心を置いて進めるべきです。
 現在、国連をはじめ国際機構が飢餓のはなはだしい一部の国のために協力措置をとっているのは好ましいことであり、また必要なことであります。
 発展途上諸国の食糧問題を根本的に解決するためには、それぞれの国が農業をりっぱに営んで穀物生産を大幅に増やさなければなりません。こんにち大多数の非同盟国と発展途上国が、帝国主義植民地支配の遺物である飢餓と貧困から抜けだせずにいるのは、耕地がないからではなく、灌漑工事ができず、機械と技術の不足で農業を満足に営めないためです。
 われわれはなによりも、灌漑建設分野での協力を強めるべきだとみなします。
 発展途上諸国が干害を予防し、農業で高くて安定した収穫をおさめるためには、水利化をおこなわなければなりません。アフリカ諸国をはじめ大多数の非同盟国と発展途上国は、豊富な水資源と灌漑建設の有望な展望をもっています。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、灌漑建設分野における協力を実現するため、「発展途上諸国の灌漑建設10 か年計画」「アフリカ灌漑建設10 か年計画」といったものを共同で作成し、灌漑建設分野での協力を調整する機構を設け、合弁灌漑建設企業所も組織するのが合理的でしょう。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、農法改善の分野でも互いに緊密に協力すべきです。
 発展途上諸国において食糧増産のもっとも大きな予備は、農法を改善して農業を科学技術的に営むことにあります。農法を改善するだけでも、わずかな投資によって農業生産で大きな効果をあげることができます。
 発展途上諸国は各地域、各国の自然地理的条件と気候風土に適した新しい農法をつくりだすべきであり、農法の改善で得たりっぱな経験を広く一般化すべきです。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、採種と育種の分野でも互いに広く協力し交流すべきです。
 採種と育種の分野でりっぱな技術と経験をもっている国は、他の発展途上諸国とその分野の技術を交流し、原種の提供を要請すればそれも提供すべきです。
 穀物生産の増大をはかるためには、農業科学研究分野での共同研究と相互協力を強めなければなりません。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、農業合弁を積極的に実現すべきです。
 農業合弁の実現は、アフリカ諸国をはじめ発展途上諸国の食糧問題の解決をはかる合理的な方途の一つです。発展途上諸国が農業合弁を広範に実現すれば、農業生産をすみやかに増やして人民を飢餓から救えるばかりでなく、国の農業生産土台を強固にすることができます。
 農業合弁の実現にあたっては、合弁農場を組織し運営するのが重要です。農業技術の立ち後れている国は土地と労働力を提供し、 農業技術の発達している国は農業機械や化学肥料、農薬などの営農機材と技術を提供する方法で、合弁農場を運営することができるでしょう。
 非同盟諸国と発展途上諸国は農業機械と灌漑設備、化学肥料と農薬などを円滑に保障するため、営農機材生産分野でも合弁企業を組織するのが効果的でしょう。さしあたり、比較的技術の足りない発展途上諸国は、経験のある他の発展途上諸国の援助のもとに農業機械工場を建設し、中小農業機械と農機具の生産を増やし、蓄力農業機械も量産して利用するのがよいでしょう。
 われわれは、非同盟諸国と発展途上諸国、とくにアフリカ諸国が強固な農業生産土台を築き、食糧を自給自足できるようにすることに重点を置いて、これらの国との協力を強化するでしょう。
 第二に、保険医療分野での協力と交流を広範に実現すべきです。
 保険医療分野における南南協力は、個々の発展途上国が2000年までに自国人民の健康を保持するうえで提起されるもっとも切実な問題の解決に集中されなければなりません。
 非同盟諸国と発展途上諸国の人民を病魔から解放するうえで第一義的に解決すべき問題は、伝染病と寄生虫病を撲滅することです。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、これまで保険医療分野での協力過程で得たりっぱな経験を生かし、この分野でより効果的な方途を見出して協力を積極的に実現していくべきです。
 なによりも、現代医学と伝統医学、現代療法と民間療法を適切に結合して医学を発展させ、この分野での協力を強めるべきです。
 保険医療分野での南南協力を着実に実現するためには、医薬品問題の解決に力を入れなければなりません。
 非同盟諸国と発展途上諸国は予防医薬品の生産を発展させる協力を強め、基礎医薬品生産のための協力も積極的に発展させるべきです。とくに、医薬品生産基地を築くための協力を強化すべきです。合弁製薬企業を創設するのは、このような協力を効果的に実現させる重要な方途となります。合弁製薬企業を創設し発展させるためには、個々の国の原料源と生産能力、医薬品の需要を考慮して、国際的規模での医薬品生産の専門化協定といったものを締結するのがよいと思います。
 合弁病院を設けて運営するのも、保険医療分野での効果的な協力の方途になりえます。
 第三に、すでに作成された経済協力行動綱領にしたがい、非同盟諸国、発展途上諸国間の協力と交流を拡大発展させる事業を実際的な行動に移すべきです。
 なによりも南南協力の実現で難関となっている資金問題を解決し、有無相通ずる方法を奨励するために南銀行を設け、金融および通貨分野での協力と貿易の促進に必要な対策を立てなければなりません。
 発展途上諸国間に貿易特恵制の世界的システムを確立するのは、これらの国のあいだの貿易を発展させるうえで大きな意義をもちます。非同盟諸国と発展途上諸国は、貿易特恵制の世界的システムが一日も早く実現するよう共同の努力をしなければなりません。
 南南協力にたいする政治的支持を強化するのは、経済協力行動綱領を履行するための現実的な要求です。非同盟諸国と発展途上諸国は南南協力問題を高位クラスで討議し、実際的な対策がとれるよう必要な条件を成熟させなければなりません。
 非同盟諸国は、非同盟運動の経済協力行動綱領と77 か国グループの経済協力行動綱領を調整し、非同盟運動経済協力行動綱領の協力部門を合理的に調節することにも相応の関心を払うべきです。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、現実的要求に即応して南南協力の幅を広め、効率を高めるための積極的な形式と方法をたえず探求し、発展させるべきです。
 非同盟諸国と発展途上諸国は相互協力と連帯の精神を強く発揮して、経済・技術協力の発展における難関を克服していかなければなりません。
 非同盟諸国と発展途上諸国が農業と保険医療をはじめ、緊要な分野から南南協力を積極的に実現していくならば、飢餓と病魔を取り除き、経済的自立を達成する闘争で大きな前進をとげることができるでしょう。また、発展途上諸国間の経済・技術協力が順調に進めば、世界の全般的な経済状況が好転し、そうなれば南北関係にも肯定的な影響を及ぼすでしょう。


5. 新国際経済秩序の確立

 こんにち、非同盟諸国と発展途上諸国に提起される重要な課題の一つは、旧国際経済秩序をうちこわし、自主、平等、 互恵の原則にもとづく公正な新国際経済秩序を確立することです。
 これまで非同盟諸国と発展途上諸国は、新国際経済秩序を確立する共同戦略をうちだし、その実現をめざして力強くたたかってきました。非同盟諸国と発展途上諸国の積極的なたたかいによって、すでに国連特別総会をはじめいくつもの国際会議で新国際経済秩序を確立するという宣言と行動綱領が採択され、必要な措置がとられ、各種の国際機構も組織されました。
 しかし、旧国際経済秩序を維持しようとする先進資本主義諸国の誤った立場と態度のため、新国際経済秩序の確立をめざす発展途上諸国の闘争には、これといった前進が見られません。
 先進資本主義諸国は、国際経済関係で占めている独占的地位を従順に譲ろうとせず、新国際経済秩序を確立するための協商をおこなおうという発展途上諸国の要求に応じていません。
 帝国主義者は、依然として旧国際経済秩序にとりすがって発展途上諸国の天然資源と人民の労働の結実を廉価で略奪しており、これらの国の経済発展を妨げています。先進諸国が実施している保護貿易主義と高金利政策、そして発展途上諸国でのひきつづく交易条件の悪化と対外債務の途方もない増大は、非同盟諸国と発展途上諸国の社会・経済発展に深刻な影響を及ぼしています。不公平な国際経済秩序によって、発展途上諸国の経済はさらに脆弱化し、沈滞状態におちいっています。とくに、アフリカ諸国の経済状態が困難になっています。
 不公平な国際経済秩序によって、長いあいだ持続している世界的な経済危機と発展途上諸国の困難な経済状態は、世界情勢をいっそう不安定にしており、正義と平和を脅かしています。
 現実は、植民地主義の産物であり、帝国主義者の搾取と略奪のテコである旧国際経済秩序をそのままにしておいては、非同盟諸国と発展途上諸国が国際的搾取と略奪から抜けでられず、国と民族の復興発展をなしとげられないことを示しています。
 貿易、金融、通貨をはじめすべての分野で、あらゆる不公平で不合理な経済関係を改編してこそ、国際的搾取の根源を除去し、 発展途上諸国の経済発展に有利な環境をつくりだすことができます。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、すでに作成された共同戦略にしたがい、新国際経済秩序を確立するため積極的にたたかわなければなりません。
 第一に、新国際経済秩序の確立をめざす協商過程を促進するためにひきつづき忍耐強く努力しなければなりません。
 協商戦略の実現において重要なのは、非同盟諸国と発展途上諸国が一致した行動をとることです。非同盟諸国と発展途上諸国は、 共同で国際経済情勢の要求に応じて協商戦略を立て、協商の手順と方途を見出し、協商政策と立場を効果的に調整し、協商の地位をいっそう高めなければなりません。ニューデリー調整委員会外相会議の勧告どおり、非同盟およびその他発展途上諸国の閣僚級常設委員会を設けることが、そのための一つの現実的な措置となります。
 新国際経済秩序の確立は、先進諸国のためにも有益なことです。先進諸国は、新国際経済秩序確立のための世界的な協商をおこなおうという非同盟諸国と発展途上諸国の正当な要求を受け入れるべきです。
 第二に、公正かつ強固な国際金融通貨システムの確立に力を入れるべきです。
 発展途上諸国の経済的難関と世界的な経済危機は、不公平な国際金融通貨システムと大いに関連しています。不公平な国際金融通貨システムは時代の要求に即応して、そして発展途上諸国の経済発展に有利に改編されなければなりません。
 新国際金融通貨システムは、先進資本主義諸国の特権と専横をなくし、貨幣流通の安定と国際貿易の金融条件を保障することにより、世界的な経済協力を促進し、世界経済の復興をはかる公正なシステムにならなければなりません。そのためには、国際金融機関の採択する決定が発展途上諸国と先進諸国の平等を保ち、安定した現実的な為替レート制度を確立し、国際的流動性を需要に応じて醸成し、発展途上諸国と先進諸国間に公正に分配されるようにすべきです。
 発展途上諸国の対外債務問題も公正かつ完全に解決し、それらの国の社会経済的発展と安定を保障すべきです。
 非同盟諸国と発展途上諸国は開発のための国際金融および通貨にかんする国際会議を一日も早く開き、新国際金融通貨システムを確立するための一つの契機をつくらなければなりません。
 第三に、新しい貿易秩序を確立するため積極的にたたかうべきです。
 現在、発展途上諸国と先進諸国間の貿易では依然として不等価交換がなされています。発展途上諸国は原料は安値で売り、加工品は法外な高値で買わされており、これらの国の輸出で加工品の占める割合はひきつづき減少しています。その結果、発展途上諸国の収支赤字はたえず増大し、経済的難関はますます大きくなっています。
 非同盟諸国と発展途上諸国は、貿易における不公平な価格制度を改編して一次産品にたいする公正で収益性のある価格システムを確立することによって、一次産品価格の変動を防ぎ、輸出による所得を増やしていくべきです。ここで重要なのは、組織ずみの生産者協会を強化しつつ、新しい生産者協会を組織し、その役割を高めることです。
 一次産品総合計画のための共通基金の創設は、発展途上諸国の一次産品輸出で価格と所得を安定させる重要な措置の一つとなるでしょう。発展途上諸国は、この基金がすみやかに発足するよう、共通基金創設協定にかんする批准を促すべきです。
 先進諸国は保護貿易主義政策を放棄し、発展途上諸国に市場をさらに開放すべきです。発展途上諸国の主要製品にたいする関税および非関税の障壁を取り除き、これらの国の輸出所得を安定させる措置を講じるべきであり、原料と製品の加工、販売、分配および輸送において発展途上諸国がさらに大きな割合を占めるようにすべきです。
 発展途上諸国の生産品にたいする特恵待遇をさらに改善すべきであり、公正な貿易原則と規定を制定するために国際的な努力を傾けるべきです。
 発展途上諸国は、先進諸国が一般特恵制度を発展途上諸国に圧力を加える手段として利用できないようにすべきであり、天然資源にたいする恒久主権を侵害するあらゆる行為に反対して積極的にたたかうべきであります。
 非同盟諸国と発展途上諸国が団結して公正な新国際経済秩序を確立するために力強くたたかうならば、先進諸国はよかれあしかれ、いずれかは発展途上諸国の要求に応ぜざるをえなくなるでしょう。


6. 非同盟運動の強化発展

 非同盟運動をたえず強化発展させるのは、反帝・自主偉業を完成するための重要な保障です。
 非同盟運動は帝国主義と対峙している現代の強力な反帝・自主勢力です。非同盟運動を強化発展させてこそ、帝国主義者のあらゆる支配と従属、侵略と干渉策動を成功裏にはねのけて非同盟諸国の自主権を守り、 新国際経済秩序の確立をはじめ国際舞台で提起されるすべての問題を新興諸国人民の自主的志向と要求に即応して解決していくことができます。また、核戦争を防止し、世界の平和と安全を守ることができ、民族解放偉業を力強くおし進めることができます。
 非同盟運動を強化発展させることは、現国際情勢が複雑であり、非同盟運動を本来の原則から離脱させようとする外部勢力の策動が露骨化している状況のもとで、いっそうさし迫った問題として提起されています。
 すべての非同盟国は非同盟運動の強化発展のため積極的に努力し、非同盟運動が時代と人類にたいする重大な任務をりっぱに遂行できるようにしなければなりません。
 第一に、非同盟諸国はこれまで非同盟諸国首脳会議で確認された非同盟運動の理念と原則に忠実でなければなりません。
 非同盟運動の原則と理念を固守するのは、この運動の強化発展とあすの運命を左右する根本問題です。
 反帝・自主は非同盟運動の基本理念であり、いかなるブロックにも加担せず自主的に進むことは、この運動の根本原則です。すべての非同盟国が自主性を堅持してこそ、非同盟運動固有の特性を保持し、その全般的威力を強化することができ、反帝・自主の崇高な理念を実現することができます。非同盟諸国が自主性を堅持できなければ、非同盟運動は不可避的に変質をきたすようになるでしょう。
 非同盟諸国はすべての活動においてつねに自主性を堅持すべきです。非同盟諸国はあらゆる外部勢力の干渉を断固排撃すべきであり、他国に盲従してはなりません。非同盟諸国は他国の自主性を尊重すべきであり、他国の内政に干渉したり利益を侵害する行動をしてはなりません。
 非同盟諸国はいかなるブロックにも加担しない根本的立場を一貫して堅持し、非同盟運動を本来の原則と目的から離脱させようとするあらゆるもくろみに反対して断固たたかわなければなりません。
 非同盟諸国は自主性の旗を高くかかげて力強く前進し、反帝・自主偉業の完成に積極的に寄与すべきです。
 第二に、非同盟諸国は団結の伝統を固守し発展させなければなりません。
 団結は非同盟運動の生命であり、威力の源であります。団結をぬきにしては非同盟運動の存在について考えることができず、その威力について語ることもできません。団結すれば勝利し、分散すれば敗北するということは、歴史によって立証された真理です。
 非同盟運動は第一歩を踏みだして以来こんにちにいたる25年のあいだ、団結のために努力し、団結を武器にしてたたかってきました。この過程で団結を第一とし、これにすべてを服従させていくりっぱな伝統が築かれました。非同盟諸国は、この伝統を固守し発展させ、非同盟運動の統一団結をさらに強固なものにすべきです。
 非同盟諸国は団結の要因を助長、発展させ、分裂の要因を取り除くために努力し、ただ団結に利することだけをすべきです。非同盟諸国は帝国主義者の教唆と欺瞞策にのって互いに嫉視反目したり争ったりしてはならず、帝国主義者の分裂・離間策動に団結の戦略をもって対抗すべきです。
 非同盟諸国は運動構成国間で武力を行使したり、紛争問題を軍事的衝突へと導く行動をとってはなりません。こんにち、非同盟諸国間に生じる紛争は、非同盟運動の統一団結に大きな支障をきたしています。非同盟諸国は一部の非同盟諸国間に発生した紛争問題をいつまでも持続させてはならず、それを終息させる決定的な対策を講じるべきです。
 非同盟諸国間の紛争問題は、あくまでも外部勢力の干渉を受けることなく団結の原則で、双方の民族的利益と非同盟運動の全般的利益に即して当事者同士が協商の方法で平和的に解決すべきです。非同盟諸国は、新興諸国間の紛争問題において、ある一方を支持したり反対してはならず、公正な立場に立って当事者が協商の方法で解決するよう積極的に援助すべきです。
 非同盟諸国は相互関係で提起されるすべての問題を、完全な平等と自主性、領土保全、相互尊重と内政不干渉の原則にもとづいて解決すべきです。こうすることによってのみ、非同盟諸国間の団結と協力関係が真実かつ強固なものになり、非同盟運動は全一的な勢力として前進することができます。
 第三に、非同盟運動の行動能力と効率をさらに高める方途を共同で見つけだすべきです。
 非同盟運動の行動能力と効率を高めることは、この運動を強化発展させるための現実的な要求です。こんにち非同盟運動はきわめて幅広い世界的な運動に拡大し、非同盟諸国間の協力がさらに深まっており、国際関係分野では早急に解決すべき複雑な問題がつぎつぎと提起されています。このような実情に即応して、非同盟運動の行動能力と効率を決定的に高めなければなりません。
 非同盟運動の行動能力と効率を高めるために、非同盟諸国の活動を効果的に調整し、非同盟運動が国際問題の解決にいっそう積極的に参加できるよう、活動の方法と手順、そして適切な機構の枠を完成することが重要です。
 われわれは、第8回非同盟諸国首脳会議が現段階において非同盟運動に提起される重要な問題を解決し、非同盟運動をさらに強化発展させるうえで歴史的意義をもつ会議になるものと確信します。
 朝鮮民主主義人民共和国政府はこれまでと同様、今後とも非同盟運動の原則と理念に忠実でありつづけ、この運動の強化発展のためにあらゆる努力をつくさなければなりません。