金日成主席生誕113周年を祝賀し
日本でチュチェ思想セミナーが開催される
2025年4月13日には群馬で、その前日の4月12日には大阪で、チュチェ思想研究セミナーが開催されました。
その内容について紹介します。
群馬
チュチェ思想研究全国セミナー


金日成主席生誕113周年記念チュチェ思想研究全国セミナーが、2025年4月13日、群馬で、金日成・金正日主義研究群馬連絡会、日朝友好連帯群馬県民会議の主催、チュチェ思想国際研究所の後援で開催されました。
セミナーには、尾上健一・チュチェ思想国際研究所事務局長をはじめ、学界、社会界、政界の人士や、労働者、学生など、北海道から沖縄まで、全国からチュチェ思想研究者らが参加しました。

はじめに、日朝友好連帯群馬県民会議代表であり、金日成・金正日主義研究群馬連絡会代表である宮川邦雄氏から主催者挨拶がありました。
宮川氏は、全国各地でチュチェ思想研究普及活動を担っている参加者にたいする歓迎の言葉を述べながら、混沌、混迷した国際情勢が続いている今、チュチェの哲学、思想こそが解決できる唯一の道だと述べました。
主催者挨拶に続き、朝鮮社会科学者協会からの祝賀メッセージが紹介されました。
セミナーでは、群馬県議会議員の本郷高明氏、在日本朝鮮人総聯合会群馬県本部委員長の李和雨氏から来賓挨拶がおこなわれました。

本郷氏は、朝鮮をめぐる国際的な問題と在日朝鮮人の教育権は切り離して考えるべきだとし、朝鮮学校の文化的役割や子どもたちが平等に学べる環境整備の重要性を強調しました。また、追悼碑撤去問題や総聯への制裁に対し、日本と朝鮮の友好を深める努力が必要だと訴えながら、セミナーの成功を祈念しました。

在日本朝鮮人総聯合会群馬県本部委員長李和雨氏は、今年は朝鮮労働党創立80周年、朝鮮総聯結成70周年を迎える意義深い年である、この記念すべき年に開催されるこのセミナーが、金日成・金正日主義、チュチェ時代を代表する指導思想をもっと深く学び、人間中心の世界観、チュチェの人生観などを改めて認識する機会になればと思っていると述べました。

セミナーでは、チュチェ思想国際研究所理事であり、埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫氏が「日本の自主化とチュチェ思想の役割」と題してオンラインで、朝鮮大学校政治経済学部准教授の徐順愛氏が「朝鮮民主主義人民共和国における社会主義強国建設」と題して講演をおこないました。
鎌倉教授は、新自由主義と戦争、金融資本の特性と課題、チュチェ思想の意義という構成で講演しました。
はじめに、現在の世界情勢における第三次世界大戦の可能性や、ウクライナを巡るロシアとアメリカの対立、新自由主義がもたらす戦争への影響について、金融資本主義の役割とその問題点、人類が直面する課題の深刻さについて強調しました。
つづいて、現代の金融資本がどのように各国の経済や社会に影響を与えているかについて解説した後、利潤追求のための独占や、株式を通じた支配が貧困拡大や社会格差の増大を引き起こす要因となっているとし、労働者や中小企業に大きく影響し、戦争や社会不安の原因になっていると指摘しました。
最後にチュチェ思想が、日本を含む資本主義社会が直面する課題を克服するための重要な指針であることについて言及し、人間の自主性や連帯を重視するチュチェ思想の基盤が、新たな社会構築の鍵となると強調しました。

徐順愛教授は、朝鮮が社会主義強国の建設に向けて進めてきた歴史的背景や成果を体系的に論じるとともに、思想的基盤としてのチュチェ思想の意義を強調しました。
徐順愛教授は、社会主義強国建設のための15年ビジョンが提示された背景について解説した後、15年ビジョンが示されてから、どのように社会主義強国建設が進められてきたのか、自力更生が強調されたことや、具体的に平壌市5万世帯住宅建設プロジェクトや、地方産業施設の建設をはじめ、農業、建設、経済基盤の分野での具体的な進展について紹介しました。
徐順愛教授は、最後に社会主義強国建設を推し進めているのは思想の力であるとし、朝鮮では、社会主義強国建設においてその威力が発揮されていることについて言及しました。さらに、金正恩総書記の革命思想は、本質において為民献身を核心とする人民大衆第一主義であり、思想理論方法の全一的体系であることについて解説しました。
最後のまとめの挨拶を、チュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長がおこないました。
尾上事務局長はセミナーの準備に尽力した宮川邦雄氏や講演者の鎌倉孝夫氏と徐順愛氏に謝意を表したあと、チュチェ思想国際研究所の創立に至る歴史を振り返りながら、次のように述べました。
チュチェ思想国際研究所は1978年に正式に設立されました。初代理事長である安井郁教授は、重病の身でありながらチュチェ思想国際研究所の初代理事長としての役割を引き受け、がんと闘いながら、亡くなる直前まで創立準備の指揮をとられたのです。安井郁教授の決心、決意が短歌「一生(ひとよ)かけて抱きつづけしこの夢をわが若きらに託し見守(まも)らん」に凝縮されています。
尾上事務局長はまた、1980年10月17日に金日成主席の接見を受けた際のことを紹介しながら次のように述べました。
金日成主席は、チュチェ思想を国家建設の指針とする重要性を説かれました。また発展途上国には「民族幹部の不足」と「米欧諸国の模倣による独自性の欠如」という二つの課題があると指摘されました。特に、独立後の国家は農業を発展させ、まずは国民が食べていける環境を整えることが優先であると教えられています。また、当時から米国の世界支配が限界を迎えていることを示唆されていました。今日の世界情勢、特にアメリカ第一主義や軍事的影響力の低下は、金日成主席の分析と一致しています。
尾上事務局長は、世界はこれから「自主の時代」に入っていくことについて強調しました。そして、金日成主席が、知識人と青年を信じてチュチェ思想を研究普及するとともに、朝鮮の経験を紹介した方がよいと述べられたことに言及しながら、金日成主席の教えを、また安井郁先生の遺志を継いで、世界にチュチェ思想を研究普及し、自国と世界を自主化するために奮闘していく決意を表明しました。
文化公演
セミナー終了後、文化公演がおこなわれました。
藤間喜美与志とその弟子たちによる日本舞踊、田面八木節保存会による八木節が披露されました。

藤間喜美与志氏と弟子による日本舞踊では、尾上健一・チュチェ思想国際研究所事務局長のまとめの挨拶でも紹介されたチュチェ思想国際研究所初代理事長である安井郁教授の短歌をテーマにした踊りが披露されました。

創作舞踊「舞」では、次代にかける思いを藤間喜美与志氏が踊りで表現しました。

チュチェ思想研究セミナー

金日成主席生誕113周年を祝賀し、2025年4月12日、大阪で、金日成・金正日主義研究関西連絡会の主催、チュチェ思想国際研究所の後援で、チュチェ思想研究セミナーが開催されました。
セミナーには、尾上健一・チュチェ思想国際研究所事務局長はじめ、学界、社会界、政界の著名人士や、医師、ジャーナリスト、労働者、学生などが参加しました。

在日本朝鮮人総聯合会大阪府本部委員長の夫永旭氏が来賓として参加し、つぎのようにあいさつしました。
米国の覇権が崩れ、自主化、多極化に向かう世界的な地政学的変化のなかで、日本を含む西側諸国は混迷を深めています。アジアの恒久的な平和の実現には、朝米平和協定の締結や過去の清算にもとづく日朝国交正常化が不可欠です。まさに新しい時代の到来に合致する各国間の関係改善が緊急の課題となっています。
日本においては、朝鮮学校への差別や拉致問題の偏重が、日朝間の対話を妨げており、政府による植民地主義の払拭や在日朝鮮人の権利擁護にたいする積極的な取り組みが求められています。
夫委員長は、日朝関係の改善と差別のない社会の実現に向けた運動への支援と連帯を呼びかけました。

セミナーでは、島根県立大学の福原裕二教授が「朝鮮半島の現状と日朝関係」と題して講演しました。
福原教授は、北東アジア地域を研究する立場から、朝鮮や韓国はじめ、東アジア地域を実際に訪問することによって集めた資料やデータにもとづいて、朝鮮と韓国、日朝関係の現況について分析し、講演しました。
朝鮮の現況については、金正恩総書記が最高指導者として指導を開始してからの指導体制について述べながら、人民大衆第一主義、わが国家第一主義、国防力の強化、金正恩総書記の活動の特徴について解説しました。
国防力の強化については、朝鮮は、日米韓の軍事演習にあわせて、それに反応してミサイルを発射しているといえる、リアクションとしてのミサイル発射であると、資料を使いながら解説しました。
人民大衆第一主義について、福原教授は、金正恩総書記が、2012年4月の演説で、平壌を世界的なモデル都市として建設し、それを地方にも広げていくと発言したことや、現在は、「地方発展20×10政策」を実施するにいたったことにも言及し、朝鮮では具体的に人民生活を向上させていくビジョンが明らかにされていると述べました。

続いて、京都朝鮮中高級学校校長の文峯秀氏が、「金正恩総書記の接見を受けて」と題して、講演しました。
文校長は、昨年末から今年の初めにかけて自身が団長を務めた在日朝鮮人の子弟、生徒児童の訪朝について、コロナ禍が明けて、訪朝がようやく実現するようになったなかでの訪朝であり、依然として在日朝鮮人にたいするバッシングがつづく日本社会で苦労している在日朝鮮人の子弟の訪朝であったと述べながら、とりわけ教育機関の活動家や、在日朝鮮人の子弟にめぐらす、金正恩総書記の愛と配慮の深さについて言及しました。
文校長は、訪朝のさまざまな場面で、海外同胞にたいする祖国の懐がいかに温かったかと例をあげて述べながら、訪問団が帰国を前にして、金正恩総書記の接見を受けたこと、そして、金正恩総書記を囲んで全員で記念写真を撮ることができ、さらに合唱まで披露できたことの喜びと栄誉について語りました。
文校長の訪朝報告は、海外同胞に愛と配慮をめぐらす、金正恩総書記がどのような指導者であるかを生き生きと伝えるものとなりました。
セミナーでは、元総聯愛知県本部委員長の金鎮度氏が、会場からの発言として、次のように述べました。
金鎮度氏は、金日成主席生誕日にさいして、セミナーが日本の各地で盛大に開催されていることを嬉しく思うと述べながら、すでに1970年代に、世界的に金日成主席の革命思想を現代の指導思想と位置付けてチュチェ思想研究普及活動を真摯にとりくんでいった動きについても言及しました。そして、あらためて、1978年4月に、チュチェ思想の国際的な学術機構としてチュチェ思想国際研究所が創立されたことの意義を強調しました。
文化公演
セミナー終了後、文化公演がおこなわれました。

大阪地域の伝統芸能として深く根づいている大阪だんじり囃子が披露されました。龍踊りや、鉦と太鼓による力強い音色が会場いっぱいに響きわたりました。

「河内音頭で世界に笑顔を」という思いで、地元で芸能活動をおこなっている一座の公演もまた、会場からの手拍子と一体になって会場を沸かせました。

続いて、日朝音楽芸術交流会副会長の遠山洋子氏が、朝鮮人民が金日成主席を思って歌った歌、「あぜ道をあるくとき」「永遠のほほえみ」を心をこめて歌いました。
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群馬と大阪で開催されたチュチェ思想研究セミナーは、金日成主席の革命業績をふりかえるとともに、こんにち、金正恩総書記の指導のもとに、社会主義の完全勝利に向けて躍進する朝鮮にたいする理解をいま一度深める機会となりました。