ヨーロッパ地域セミナーがブルガリアにおいて開催される
― 「主権と自主、新しい国際関係」をテーマに ―
2024年9月8日、ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会が主催し、「主権と自主、新しい国際関係」をテーマに、ヨーロッパ地域セミナーがブルガリアの首都ソフィアで開催されました。
セミナーには、イタリア、フィンランド、オーストリア、ルーマニア、イギリスなどヨーロッパ各国からチュチェ思想研究者と地元ブルガリアの各界人士が、朝鮮からは朝鮮社会科学者協会代表団が参加しました。また、オンラインでチュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長、ロシア科学アカデミー東洋学研究所部長のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏らが参加しました。
セミナーの開催にあたり、ラモン・ヒメネス・ロペス・チュチェ思想国際研究所理事長、アフリカ・チュチェ思想研究委員会、アジア・チュチェ思想研究所から、祝賀メッセージが寄せられました。
セミナーは、新たにヨーロッパ・チュチェ思想研究学会会長に就任したマッテオ・カルボネリ教授の司会によって進行しました。
セミナーでは、朝鮮社会科学者協会副委員長のパクチョルジュン氏が、朝鮮社会科学者協会を代表して祝賀の挨拶をおこないました。
パクチョルジュン氏は、はじめに、本セミナーの開催を祝賀するとともに、セミナー開催のために尽力されたマッテオ・カルボネリ教授をはじめとするヨーロッパ・チュチェ思想学会の理事たちに心から謝意を表すと述べました。
そして、次のように続けました。「主権と自主、新しい国際関係」に関するヨーロッパ地域セミナーは、チュチェ思想を金日成・金正日主義に発展豊富化させ、世界の自主化の流れを導いている金正恩同志にたいする世界の進歩的人民の敬慕の念を示すものです。本セミナーはまた、自主の世界をきずこうとする進歩的人民の熱望を止めることはできず、否定することもできないことを証明する重要な場となるでしょう。
今日、わが共和国は、卓越した指導者である金正恩同志の指導のもと、チュチェ思想の旗じるしをかかげ、全面的な国家繁栄の新時代をきり拓くための闘争で、日々世界を揺るがす奇跡を起こしています。このことは、チュチェ思想を希望の光として自主的な世界を建設しようとする各国の進歩的人民の闘争に大きな力と勇気を与えるであろうと確信しています。
本セミナーは、主権と自主性を尊重する原則のもとで、人類が正義と平和の新しい国際関係を樹立することに寄与する意義深い集会となるでしょうし、ヨーロッパのチュチェ思想研究者の絆を強め、相互協力をさらに促進するための有意義な機会になると確信しています。
セミナーでは、マッテオ・カルボネリ教授が基調報告をおこない、次のように述べました(全文はこちら)。
今日、わたしたちは決定的な転換期を迎えています。現在の国際情勢は、自主を求めて闘争する人民と、支配を維持・拡大しようとする帝国主義勢力との間で、抗争がますます激化していることを示しています。
帝国主義は依然として、自らの権力に対抗する動きにたいして、あらゆる手段で攻撃することをためらわず、全世界を戦争の危険にさらしています。
しかし今日、世界のいたるところで、多くの人民が自分たちの主権を自国の社会体制で実現しようとしており、現実的で公正な新しい国際秩序のなかで自国の自主権を守ろうと決意しています。
チュチェ思想は、人民がこれらの目標を達成するための一貫した原則を明示しています。そして、朝鮮におけるその実践は、朝鮮人民がどのように自主と主権の実現に成功したかを示しています。
本ヨーロッパ地域セミナーが、チュチェ思想研究普及活動を促進し、主権と自主、世界における新しい国際関係を実現するための進歩的人民のたたかいを鼓舞する重要な契機となるであろうと確信しています。
基調報告に続き、尾上健一事務局長が「自主の道に繁栄があり勝利がある」と題してオンラインでスピーチをおこないました(全文はこちら)。
最初に、セミナーの開催と成功に祝意を表し、セミナーの準備のために尽力された人士に謝意を述べたあと、次のように続けました。
2024年8月9日、長崎市の平和祈念式典には、世界101か国の首班や大使級が参加し、市民とともに犠牲となった被爆者を追悼しました。このことは、多極化された平和な新しい世界を求める流れが本流となっていることを反映するものでした。
長崎市は今年の平和式典にパレスチナを招請し、イスラエルの参加は拒む選択をし、その立場を貫きました。
日本を除くG6(米国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)は、長崎市がイスラエルの平和式典参加を拒否したことを非難し、自らも式典への参加を取りやめました。
長崎市に参加した101か国と参加しなかった6か国、これが米国とイスラエルの大量虐殺に反対するか推進するかの明確な表現といえます。
世界における反帝自主、連帯の動きは、公平で平和な世界を実現するもっとも強力なたたかいです。
こんにち、政治的経済的に弱体化した米帝国主義は侵略と略奪の本性をますます露わにし、戦争に狂奔しています。しかし、他国人民の血の上に自国の繁栄をきずこうとする帝国主義の策動は、長続きすることはありません。
平和と正義を守る自主の国際連帯を強化し、反米反帝闘争を決定的に強化することによって、新しい世界をきずいていくことができるでしょう。
尾上健一事務局長はさらに、社会主義、共産主義社会を現実化している朝鮮について、次のように述べました。
朝鮮においては、金正恩総書記が最高指導者に就任してから12年余りが経過しました。金正恩総書記は、民衆が幸せに暮らすことのできる社会主義の完全勝利に向けたたたかいを精力的に指導しており、人民のために献身していくことが党や国家の活動家の役割であると明らかにしています。
金正恩総書記の革命思想は、人民大衆第一主義を核心とする思想、理論、方法の全一的体系をなしています。金正恩総書記の革命思想は、金日成主席と金正日総書記の革命思想を忠実に継承するとともに、新しい時代の革命実践の要求に応じて深化発展しています。
金正恩総書記の革命思想がどのようなものであるかは、金正恩総書記の具体的な活動にあらわれています。とりわけ、今年7月末に発生した朝鮮の北部地域の水害と関連した活動において、為民献身とは何かがはっきりと示されました。
朝鮮で、人民大衆第一主義の政治がおこなわれ、社会主義完全勝利に向けたたたかいが力強くおし進められていることは、チュチェ思想研究普及活動や、チュチェ思想を学ぼうとする人の生き方に重要な示唆を与えています。
金正恩総書記の思想と活動に深く学びながら、多くの人々に献身し、絆を強め、力を合わせて自主の社会を築いていきましょう。
引き続き、ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会理事からのスピーチがありました。
ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会書記長であり、フィンランド・チュチェ思想研究会会長のユハ・キエクシ氏は、「帝国主義とのたたかいで求められる共通の革命思想」と題してスピーチをおこないました(全文はこちら)。
今日、わたしたちは、グローバリゼーションがいまだに猛威をふるっている時代に生きています。これは本質的に帝国主義がいまだに生き残っていることを意味します。資本家は市場における自己の地位を維持するために、搾取の度合いをつねに高めています。
ウクライナを支援し、軍事費を増加させた結果、北欧の福祉国家は解体されつつあります。北欧諸国の教育水準は低下し、公共医療の受診がますます困難になっています。労働条件は悪化し、労働者のストライキの権利が制限されるようになりました。
資本主義が、すべての人々に幸福をもたらすことは決してありません。資本主義においては、富裕層がますます富み、その他の階層の人々は帝国主義によってもたらされた結果に苦しんでいます。
進歩的な思想意識を人々のあいだに広めていくことは、とりわけ西側諸国において、現在もっとも重要な課題となっています。
わたしは、チュチェ思想に基づいて、より公正な世界をきずくことに着手できると確信しています。チュチェ思想を研究し、朝鮮におけるその適用についての理解を深め、チュチェ思想をヨーロッパに広く普及していくことがもっとも重要です。
金日成主席が創始し、金正日総書記と金正恩総書記によってさらに発展豊富化されている独創的なチュチェ思想以外に、世界的な問題を解決し、人民の福利厚生を増進させることができる思想はありません。
ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会理事であり、ロシア科学アカデミー東洋学研究所部長のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏は、オンラインで次のようにスピーチしました。
国際情勢は非常に複雑になっています。朝鮮は、建国当初から自主的な国であり、ロシアも同じです。
ロシアと朝鮮が、再び同盟を結んでいるのは当然のことです。今年6月、プーチン大統領が朝鮮を訪問し、包括的な安全保障に関する条約を結びましたが、これは驚くべきことではありません。東アジア、そして朝鮮半島の軍事的均衡は、相関関係があります。米国と韓国、日本の間で、どれだけの軍事協定が結ばれているかご存じでしょう。わたしたちは自らを守り、自主を守ります。
ロシアと朝鮮は、ウクライナ紛争の本当の理由を理解しています。明確なのは、西側諸国が、ロシアに戦略的敗北を与えると言ったことです。NATOが東方への拡大を始めたとき、それは戦略的な目論みでした。朝鮮の人々は、ロシアと一つの塹壕の中にいる、米国の侵略に対して共にたたかうと言いました。
自主はチュチェ思想の核心です。
“われわれは共にある”。それは言葉で言うだけではなく、実践を伴うものです。わたしたちは、主権と自主の実現のために共にいます。
ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会理事であり、ブルガリア金日成・金正日主義研究会会長のリュドミル・コスタディノフ氏は、「真の自主独立強国」と題して次のようにスピーチをおこないました。
金正恩総書記は、2022年9月の施政演説の中で、覇権主義がはびこり、これまで以上に危険な段階にいたった現代において、真の自主独立強国とはなにか、正義の国家とは何かを世界がいま一度はっきりと認識するだろうと闡明しました。そして、世界は、米国という「悪の帝国」と直接的に対峙する朝鮮の不屈の精神がいかに強固なものであるかを認識することになるであろうと述べました。
金正恩総書記は、国家と民族の恒久の安全を保障し、朝鮮半島と東アジア地域に安定した平和的環境を築くための新たな路線を打ち出し、この目標を達成するためのたたかいを賢明に導いています。
現実は、国家と民族の自主性への願いを阻むことはできないという真理を明らかにし、チュチェ思想の正当性を証明しています。
ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会理事であり、ルーマニア・チュチェ思想研究全国委員会委員長のヴァシレ・オルレアヌ氏は、「主権と自主、新しい国際関係―真実をみきわめ、分析し、行動する」と題してスピーチをおこないました。
現在、グローバリゼーションが進行するなかで、多くの国々が主権を譲り渡し、自主性を失うことでますます脆弱になっています。あらゆる種類の機関や機構に依存するようになり、多くの国際機構、特に国連やNATOの軍事ブロックの加盟国となっています。
自主と主権は、あらゆる民族、国家にとって発展の要であり、それなくして国家は存続できません。人民大衆、民族、国家は、現実に根をおろした強力な指導者によって創始された科学的な指導思想によって、自己の運命をいかにきり拓くか、その方途を知ることができ、主権と正義によって、支配と従属の古い世界を覆し、新しい自主的な世界を創造するたたかいに立ち上がることができます。
チュチェ思想にもとづいて朝鮮労働党が推し進めている社会主義モデルは、米国による不当な制裁、誹謗中傷、孤立化、侵略と核威嚇によるたえまない脅威があるなかでも、主権と自主を実現していくうえでの推進力となることを証明しました。
ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会理事であり、オーストリア・金日成・金正日主義研究会会長のトーマス・レシュ氏は、「新しい世界秩序における人民の力と自主権」と題して次のようにスピーチしました。
ヨーロッパはいま、米国に大きく支配されています。とりわけ、EU議会は米国の傀儡のように動いています。ウクライナ戦争では、すべてのEU諸国が、米国からウクライナに武器を送るよう、そして、ロシアに対して経済的、政治的制裁を課すよう強制されています。
米国とEUは、ロシアを世界から孤立させ、国を崩壊させ、傀儡政権を樹立しようともくろんでいます。しかし、これらの勢力には、一極化した世界秩序を作り出す力はありません。世界の大半の国々は米国の圧力を拒否し、米国の世界支配に反対してたたかっています。そしてBRICSのような国際会議がますます関心を集めています。
現実は、国家と民族の自主性への願いを阻むことはできないという真理を明らかにし、チュチェ思想の正当性を証明しています。
セミナーの最後には、金正恩総書記への手紙が採択されました。
セミナーは、ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会の新たな役員体制のもとで、各国のチュチェ思想研究者が連携を取り合いながら、ヨーロッパにおけるチュチェ思想研究普及活動をよりいっそう前進させることを決意する場になりました。
* * *
セミナーに先立って、同日ソフィアにおいて、ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会理事会第14回会議が開催されました。
理事会会議では、マッテオ・カルボネリ教授により、2019年9月にブルガリアで開催された理事会会議以降の事業報告がなされ、2025年以降の事業計画が提案されました。
また、役員改正がおこなわれました。
ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会会長であり、パリ・ルネ・デカルト大学名誉教授のエドモン・ジューブ氏が名誉会長に就任し、同学会の書記長を務めていたマッテオ・カルボネリ教授が会長に就任しました。そして、ユハ・キエクシ氏が書記長に就任しました。
また、アレクサンドル・ヴォロンツォフ氏が新たに理事に選出されました。